【対談】一人の百歩より、百人の一歩 (エコ建築考房 喜多さま)
『海をまもる』とは
森で生まれた美しい水の恩恵を受けて、生活や事業を日々営んでいます。可能な限りこの水を美しいまま海に届けていくことで、海をまもっていきたいと考えています。
ゲスト:喜多茂樹(株式会社エコ建築考房 代表取締役社長)
対談:東本 猛(Save the Ocean株式会社 代表取締役Co-Founder)
いい家いい会社作りをしよう。
東本さん(以下、敬称略)エコ建築考房さんの、事業の紹介と大切にされていることをお聞かせください。
喜多さん(以下、敬称略)エコ建築考房は創業25年目で、私は2代目になります。注文住宅とリフォーム、薪ストーブの大きく3つの事業をさせていただいています。
自社には1級建築士が6人おり、自社で設計・施工、アフターメンテナンスまでしております。 本社は一宮にありまして、モデルハウスは新神宮東中日ハウジングセンターと、ナゴヤハウジングセンター春日井会場です。工場は岐阜市にあり、愛知、岐阜を中心に家づくりを行わせていただいております。
当社の家づくりの大工工程では既製品を組み立てるのではなく、実際に木材を見極めて、手仕事で加工する工程がほとんどであり、そんな手間暇掛かった家づくりにやり甲斐を感じてくれている職人さんが集まってくれています。 最近の家は3か月ぐらいで、みるみるうちに建つのですが、その倍の約6か月ぐらいかけて家づくりをしています。
大工さんが腕や技が見せられる”大工冥利に尽きる仕事”は世の中にほとんどないので、 数多くつくるのではなく、大工工程だけでも約4ヶ月かけて年間一人当たり3棟しか作りません。そういうところにやりがいを感じています。
家づくりそして、働く時って、事業に対する誇りとか、それが社会にどう役立てるのかということが結構重要じゃないですか。我々はそんな自負が全員にあります。
今年、『いい家づくりといいと会社づくり』という社是を作りました。いい家を作るためには良い会社じゃなければダメだし、まだまだ課題も多いのですがいい会社はいい家をつくれる、いい家だからいい会社にもなる。その両輪が大切だと思っています。
お客様に喜んでいただくことは当然として、社員、仕入先、地域の方にエコ建築考房の家と会社があって良かった!と思われるような家づくりと会社にしたいと思っています。
東本:SDGsや地球環境を守っていくことに対して、エコ建築考房さんの考えや取り組んでいることをお聞かせください。
喜多:1つは 岐阜県東白川村の認証木材の利用に取組んでいます。日本は約60%木を輸入してきていますが、その1割ぐらいは人権侵害や違法伐採などの木が含まれていると言われており、そういったもので紙や木製品にして私たち日本人の生活が成り立っていると言っても過言ではありません。そういう状況はあまり知られていませんが、第三者機関が国際基準に則ってちゃんと山、通流加工工程をチェックされ認証された製品には、認証木材のマークがつけられています。
認証木材の利用は大手企業を中心に紙で広がりましたが、住宅の木材についてはほとんど広がってない状態なので、誰かの犠牲を伴ってしまった木の可能性も大いにあります。実は認証制度は2000年頃、約20年も前に海外から入ってきていたのですが、一向に普及が進んでいませんでした。その中で僕らは2019年、認証木材を利用し民間の企業として日本初のプロジェクト認証を受けたモデルハウス春日井の家を建てました。
言っていることとやっていることが違うと、人は信用されない
東本:喜多さんのお話をお聞きしていると、「誰かの犠牲を伴って何かを進めていくことはしない」ことを大切にされていることが伝わってきますね。特に地域を大切にされていますよね。
喜多:経営には答えがないことが多いし、未だにわからないこともたくさんあります。ただ、わかっていることは「企業は継続をしないといけないし、それが出来なければいろいろな方に迷惑がかかる」ということです。続けるためには、やっぱりファンづくりだと思っています。地域の中でそういうファンをたくさん作ることができるかということは、結果としてやっぱり企業が継続することだと思うのです。単に規模を大きくすることより、少しずつでも成長して継続する企業を目指しています。
SDGsについては、2030年に向かい社会がどう変化していくか?を想像して、その中でどう自分たちが存在意義を持って行くかということが大切だと思います。
具体的な取組みとしては、2016年に名古屋に建てた創業のモデルハウスがあるのですが、初のモデルハウス、大手ハウスメーカーさんと横並びでモデルハウスを建てることを決めたということから、清水の舞台から飛び降りる気持ちで建てました。でもそれが3年後に「会場が閉鎖する」と言われて、結果、会場の他の建物は全部解体してごみの山になっていました。
「いい家を永く住んでいただける家づくり」という思いで、関係者は家づくりをしているので僕は、捨てずにそのまま一宮の展示場に移設してきました。
他社にはない個性のある、ユニークな家づくりをしていますが、他にもユニークだねと言われるのは、お客さんの1割は同業者さんで、働く社員の約20%は元お客さんになったのです。
実は社内に営業職はなく、家のご説明スタッフの多くは、実際に住んでからエコ建築考房で働いてくれているので「オーナーズボイス」なのです。
東本:エコ建築考房さんには『海をまもる洗剤』の販売をしていただいていますが、エコ建築考房さんにとって洗剤はどんな役割なのでしょうか。
喜多:僕は最初に東本さんの話を聞いて、「とってもいいな」と思いました。それからスタッフにもその話を聞いて欲しくて、そして東本さんからお話してもらって、スタッフにも洗剤を使ってもらい、「お客様にもすすめたい!」となって販売させてもらっています。
洗剤というのは物を洗うということが目的で買うわけですけれど、使い終わったあとの排水のことを知らなかったこと、そしてそれを知ることができたことが、とても大きなきっかけですね。海をまもる洗剤が環境負荷を抑えてくれるとか、洗浄力がいいとか、すすぎが少なくなるとか、「これいいじゃないですか!」と、特に女性陣から声が上がってきましたね。
一人の百歩より、百人の一歩
東本:「住むことは洗うこと/食べることは洗うこと」この生活の中で僕たちクリーニング業では洗うことは欠かせません。だから洗うことで環境負荷がない洗い方や洗剤をつくっています。エコさんは住むことで環境負荷を与えないこと、健康が豊かになるということとはどんなことでしょうか。
喜多:今日の朝、家の近くの川を見てきて実は写真を撮ってきました。そしたらめちゃくちゃ汚くて。僕は東本さんの話を聞いていたから、どうしても色々気になってしまっています。
僕は京都生まれ京都育ちで、比較的、川の水が綺麗な所で山や川など自然が身近にある地域で育ちました。川が綺麗だったので友達と素潜りして鮎を取ったり、山へ行ってカブトムシを捕ったりとか、結構そういう記憶があります。
個人的な感覚ですけど、子供も大人も海や川の自然で遊んだ記憶が、ある子とそうじゃない子って大きく違うような気がしています。だから遊ぶときは5歳の息子も川や山など自然豊かな所によく連れて行っています。
僕が今朝に見た川も本当はきれいで、「昔はきっとここで遊んでいたのだろう」と。やっぱりそういうことが大切だろうなと、一人の親として思うようになりましたね。
でも、じゃあ僕らがすぐに綺麗にできるかというとそんなことはないし、もちろん山の木の手入れのことも川につながってくるし、毎日の暮らしの中で洗う洗剤も大切です。
結局、何か一つのスイッチを入れれば解決する問題じゃないわけなので、みんなでそういう活動ができれば、結果として、川や海が綺麗になったり、山も手入れされるようになったりするのでしょう。すると大人も子どもの自然に触れていられるような、それが良いのではないかなって思っています。
東本:喜多さんの社員に対する思いやメッセージが製品のモノづくりに通じているなと思っています。損得ではなく、自分が正しいと思うことをやって、共感してくれる仲間を地道に増やしていくことをやってらっしゃいますね。
喜多:東本さんはよく「大きなカギがないと大きな扉は開けられない」と表現することがありますね。
僕の好きな言葉は「1人の100歩より、100人の1歩」で、会社でもたまにその話をします。今回の活動も1歩でもいいから踏み出す人を増やしていければと思います。そういう形で仲間を集めて100人の一歩、1000人の1歩、・・・1万人みたいな感じでどんどんSave the Oceanさんと増やしていけたら嬉しいですし、課題や取り組みを知ってほしいなって思います。